「Mora35」は、中心部に位置する高級住宅地区にある戦後の建物の一部をリノベーションしたものです。当時のエリート層の美的・文化的ビジョンによって形成されたこの地区の特徴を反映し、壁や床、ストーブなどのオリジナルの要素を活かしつつ、現代の快適さを追求しました。
全体的に白を基調とした内装は、木材や真鍮のテクスチャが際立つように設計されています。また、52平方メートルという限られた空間を最大限に活用するため、色や素材の選択は最小限に抑えられ、自然素材の魅力が引き立つようにされています。
特筆すべきは、真鍮の飾り板が壁と床の間に作り出すネガティブスペースです。これにより、壁が床から浮き上がっているかのような錯覚を生み出し、空間の限界を超えて床面が自由に動いているように感じさせます。また、光が飾り板に反射することで、空間全体に連続性と広がりをもたらしています。
さらに、この住宅はスマートホームとして設計されており、照明やサーモスタット、シャッター、暖房・冷房システムなどをリモートで操作することが可能です。これにより、ユーザーは自身のライフスタイルに合わせて空間を自在にコントロールすることができます。
また、オーク材の家具は、各空間に合わせて設計されており、内装の時代を超越した特性を補完しています。特に、ベッドサイドの照明器具は、その高さと細さが対比を生み出し、空間のバランスを保つ役割を果たしています。
このように、「Mora35」は、時代を超越した美学と最新のテクノロジーを融合させることで、限られた空間を最大限に活用し、一見シンプルながらも独特の空間を創出しています。その成功は、2022年にA' Interior Space, Retail and Exhibition Design Awardの鉄賞を受賞したことからも明らかです。
プロジェクトデザイナー: Cristina and Anton Giuroiu
画像クレジット: Phototography by Vlad Patru
Image Courtesy of sculpta.ba | Cristina & Anton Giuroiu
プロジェクトチームのメンバー: arh. Cristina Giuroiu
arh. Anton Giuroiu
プロジェクト名: Mora35
プロジェクトのクライアント: sculpta